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新型コロナウイルス感染症に伴うテレワークの普及は、私たちのライフスタイルを大きく変えました。特に住居へ求めるものや優先順位が変わった方は少なくないようです。
通勤が不要になり会社から離れた場所に住める、在宅時間が増え広い家に引越したい、小さくても個室が欲しいなど、在宅勤務に影響する要素について需要が高まっています。
東京都は4年連続で転入超過数が上昇しています。しかもその約90%が若年の単身世帯。そのため、都内のワンルームマンションは需要が非常に高く、これまで不動産投資の対象として注目されていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響によって、2020年は大きく鈍感しました。
さらに2010年代より強まっている東京都のワンルーム規制により、マンション投資のために新たに新築ワンルームマンションを確保することは難しいという現状があります。
これらの情報を素早くキャッチされている不動産投資家の方の中には、都心部のワンルームマンションの需要は崩れるのでは?という不安をお持ちの方もいらっしゃいます。
新型コロナウイルス感染症の影響はまだ継続しそうですし、大企業を中心に在宅勤務も定着しつつあります。
この変化は不動産投資にどのような影響を与えるのでしょうか?
世の中の変化と、ワンルームマンションの需要について着目して考えてみたいと思います。
感染症拡大の影響でテレワークが急速に普及
まず、新型コロナウイルス感染症とテレワークの現状について見ていきます。
新型コロナウイルス感染症の影響によってテレワークとなった割合について。
東京商工会議所が公表した資料では、2020年5月末時点で67.3%の企業がテレワークを実施しています。新型コロナウイルス感染症拡大前のテレワーク実施率は26.0%でしたので、明らかに増えているということが分かります。
次にテレワークの量ですが、なんと全体の34.5%が週5日、つまりはフルリモートになっているという結果が出ています。ちなみに週4テレワークが17.5%、週3が24.3%ですので、フルリモートワークに移行している企業が増えているのです。
テレワーク普及によりワンルームマンションの需要は崩れる?
この現状によって懸念されているのが、テレワークの普及により職住近接のニーズが低下すること。そう遠くない未来に、ワンルームマンションの需要が崩れてしまうのではないか?という不安の声が広がっています。
事実として、テレワーク・在宅勤務が増えたことにより、家に対する考え方や価値観は大きく変わりました。家庭を持つ方であれば、感染の不安だけでなく、家族と過ごす時間の大切さを実感し、継続してテレワーク希望するというケースも少なくありません。
一方で、ワンルームマンションの需要が高い単身者においては、住まいに対する考え方はさほど変わっていないのです。
その理由を具体的に紹介しましょう。
通勤負担を軽くしたいニーズは不変
テレワーク対応する企業が増えたとはいえ、一切出社しなくていい状況となった人はごく僅かです。
月に数回であっても、長時間通勤を避けたいと考える人は少なくありません。特に、もともと通勤時間短縮や通勤ラッシュ回避を目的として、職場近くのワンルームマンションに住んでいた方にとって、通勤負担は回数が少なくても避けたいものなのです。
家族で住んでいる人に比べ、単身者はテレワークによって部屋の狭さや数の少なさによる苦痛を感じにくい状況です。
また、フルでテレワークができる、あるいは週3日以上テレワークが可能というこの状況がいつまで続くかはわかりません。引越し後にこれまで通り出社ベースの勤務となれば、無駄な出費が増えるだけになってしまうのです。そのため、職場のある都心から離れず生活していきたいと考える方が多いようです。
都心部に住む魅力・メリットは継続
通勤が不要になったとしても、郊外住まいに魅力を感じない方にとっては引越しのモチベーションは高まりません。
商業施設や飲食店、映画館や劇場など文化施設の数は都心部が圧倒的です。出社回数が減ったとしても、都心部に住むことでプライベートが充実する側面があります。このことから、仕事時のオンの状態ではなく、プライベートのオフの状態でも快適に過ごすため、あえて都心を離れない単身者は多いのです。
単身者は賃貸ニーズが高い
ワンルームマンションは、独身者もしくは単身赴任などの需要をメインとしています。この層は分譲マンションを購入するよりも賃貸を好むためです。
さらに、今回の新型コロナウイルス感染症拡大対策としてテレワークを導入したのは大企業が中心です。これらの企業は社員への福利厚生が手厚く、家賃補助が出ているケースが多いです。そのため働き方が変わったと言え、広い部屋を購入するモチベーションは低いと言えます。
テレワーク拡大で新たな需要が創出
在宅勤務中の様子を家族に見られたくない、仕事に集中したいなどを理由に、自宅とは別に仕事用のワンルームマンションを借りる方も。
ファミリー層であったとしても例えば家族や子供に部下を叱責している姿、あるいは自分が叱責されている姿を見せたくないという声も聞かれます。
また、家族で引越しはコストや負担が大きすぎるため、仕事用のワンルームまんしょんを借りる動きも出ています。
ワンルームマンションの二極化が進む
必ずしも、テレワークが普及する=ワンルームマンション離れが加速すると言えないことがわかりました。
しかし、これからもワンルームマンション投資は安心!とは言い切れません。
働き方の多様化、住宅に求めるニーズの分散によって需要が削れていく部分はあるからです。
さらに、テレワークが前提とした社会となるならば、ワンルームマンションに求められる機能も変わっていきます。これからは「求められるワンルームマンションとそうでないマンション」の格差が開いていくと考えられます。
ワンルームマンションに対する需要が変わらなくても、より自然豊かな郊外へ住居を構えたいと考える方も少なくはありません。これまでの「都心はワンルーム、郊外はファミリータイプ」という構図にも変化が見られる可能性があります。
物件だけでなくエリアも選ばれる街、選ばれない街が出てくるでしょう。
前提として、日本は少子高齢化が急速に進んでいます。労働人口の減少、単身世帯の増加など備えるべき変化は多くあります。
不動産投資は長期的な視点による判断が不可欠です。変化に柔軟に対応しつつ、確実な需要をつかまえる考え方が重要になります。
これから求められるマンションとは?
コロナウイルス感染ション拡大により起きた大きな変化。
パンデミックはおさまったとしても、これを機に起こった働き方の変化、住まいへの価値観の変化は不可逆なものと言えます。
これからマンション投資をはじめる方、現在マンション投資をおこなっている方どちらも、先を見てニーズをおさえた物件選定、賃貸経営が不可欠になります。
では具体的にどんなマンションが人気を集めることになるか。
テレワークが進む中での住まいは、
・自宅周辺の商業施設、量販店、飲食店が充実している
・会社へのアクセスがいい
・在宅勤務にも対応できる部屋数と設備
この3点のバランスが重視されていくでしょう。
利便性が高いエリア・周辺環境
これまでは通勤時間を削るために、マンション周辺の環境を犠牲にしてきた人。逆に、広い部屋、適度な自然、買い物などの利便性を重視し、長時間通勤に耐えることを選んだ人がいます。
しかし、コロナ禍を経て多くのサラリーマンは、通勤ラッシュがいかに非人間的なものだったか、通勤時間に自分の時間を奪われていたかを痛感してしまいました。
また、自由に外出ができない、ショップや飲食店が早い時間に閉まってしまう状況となり、「自宅周辺は何もなくても出かければいい」選択の問題点が浮き彫りに。
住みやすさと利便性のバランスがより重視されるようになると想像できるのです。
テレワーク時代の快適性を満たす
一方で、テレワークが並行して必要となる場合、部屋の広さやインターネット環境など設備面への要求は高くなります。都心部のワンルームマンションは20平米弱のコンパクトな物件が多いため、テレワークの快適性を求める人にとって魅力は下がる可能性が高いです。
また、ワンルームで充分だが、高い家賃を払ってまで会社の近くに住む必要はない、と考える人も出てきます。そうなると、これまでワンルームマンションの需要が低かった「都心へ通勤圏内の住宅地」などに注目が集まるかもしれません。これは現在ファミリータイプのマンションに住んでいる人のセカンドハウス需要も狙える立地です。
自宅周辺で過ごす時間が増えることで、独身者が使いやすい飲食店や商店の多いエリアは、これまで以上にニーズが高まる可能性もあります。
アフターコロナの投資マンション選びのポイント
ワンルームマンションの需要が総崩れになるわけではないとしても、求められる物件のトレンドが変わっていくことは想像できたでしょう。
では、これから投資マンションを選ぶときはどんな点に注目すればいいのでしょうか。
生活のしやすさと働きやすさの2つに焦点を当てた投資物件を選びをしていきましょう。
1つは利便性の高い郊外エリアに目を向けること。
同じ間取りや広さの物件であっても、都心部より価格を抑えて購入することが可能です。それでいて交通の便や周辺環境が整っていれば、入居者が後を絶たない、つまり利回りの良い物件となる見込みがあります。
もう1つはテレワークするサラリーマンにも訴求できるポイントがあるか。
新しい生活様式によって自宅にいることが増えたこともあり、自宅環境も入居者が考慮するポイントとなりました。日当たり、静かな環境、休憩時間にちょっと運動ができる公園があるかなど、これまで都心のワンルームでは手に入らなかった要素への評価が高まるでしょう。
変化に耐えられる不動産ポートフォリオを
変化の激しい時代にマンション投資をおこなうのであれば、リスクを分散させる戦略を取るべきです。
その方法の1つが一棟マンション投資。
一棟マンションであれば需要の変動があっても、複数の物件を持っていることで需要に合わせた物件を入居希望者へ紹介することができるため、リスクコントロールができます。
また、スケールメリットにより維持コストを抑えられるほか、ニーズに対応した改修をおこなう余力も得られます。
この先どうなっていくかわからない新型コロナウイルス感染症。海外への物件投資については下落していくなか、一棟マンション投資については経済回復の兆しを見せており価格も上昇してきています。
資産運用のために不動産投資をはじめる人も増えている状況です。リスクマネジメントをしっかりとしつつ、テレワークのニーズに合わせた物件に投資し、将来に備えていきましょう。